映画鑑賞
校庭に東風吹いてのチラシ
沢口演じる三木先生
今年、話題になっている映画「校庭に東風吹いて」を鑑賞してきた。沢口靖子が9年振りの映画で主演を演じている。物語は他校から赴任してきた先生が始業時の出席を取るシーンから始まる。家庭では普通に話が出来るのに、人前では何も話せなくなる場面緘黙症(かんもくしょう)の女児と、保健室を利用して何時も遅れて来る、貧困に喘ぐ母子家庭の男児の問題行動を通して展開して行く。沢口演じる教師は子どもの生きる力を信じて、親や事なかれ主義の学校と葛藤しながら、子どもと共に歩み、個性ある人格者として彼らに接する。教育のあり方を問いかける優れた作品に仕上がっている。
山田洋二監督の「学校」や武田鉄矢の「金八先生」などに通じ、未来ある子どもを大切に育てようという、教育原点が貫かれている。いじめ問題などで教育委員会や学校側の対応が遅れ、責任逃れ発言がニュースで繰り返されているが、そうした事なかれ主義に対しても警鐘を発している。子どもの貧困が大きな社会問題になり、まともな食事すら摂れないので「こども食堂」が話題になり心痛める。この映画を多くの方に観て貰いたい。
「涙して 心の煤を 払いつつ」