定家葛種髪
冠毛(種髪)で飛んで子孫を残すテイカカズラ
巴形の芳香を放つ花(参考画像)
お爺さんの髭の様なさや果(参考画像)
テイカカズラの種子が崖の苔にへばり付いている。何個も付いていたのでよく目立つ。実際に風に乗って運ばれて来たのを初めて観た。花の後にはササゲの様なさや果をへの字型に2本ぶら下げる。それが裂開して、冠毛の付いた種子が風に乗り、遠くまで運んでもらい子孫を残す。花は独特なスクリュー型で、梅雨前ぐらいになると山道で落花しているのをよく見かける。
同じ様に冠毛の付いたガガイモの種がケサランパサランと云って、謎の生き物に準えて、箪笥の中で飼っておくと好い事があるとの言い伝えがあるが、テイカカズラも天岩戸神話に登場する。アメノウズメノミコトが「天の日影をたすきにかけ、天のまさきをかずらとして舞った」と伝えられている。「天の日影」がヒカゲカズラで、「天のまさき」がテイカカズラだと謂われている。また謡曲「定家」でも定家が式子内親王を慕い続けて、49歳で亡くなった皇女を想う執念が葛となって、墓に絡み付いたという伝説からテイカカズラと命名された。先人の植物に対する愛おしさが伝わる話だ。
「来春に 夢と希望を 風運び」