岩煙草
トンボのメガネ例会で赤目四十八滝へイワタバコを観に行った。大阪都心から2時間ほどかかり、三重県と奈良県の県境に位置する。ロクの処からだと3時間もの遠出になる。ちょっとしたミニ旅行気分だ。たぶん滝道歩きだから涼しいだろうと思いきや、湿度が高くむしむしする歩きになった。イワタバコはそんな環境が好きなのかもしれない。岩盤にへばり付くように咲いている。花は葉の大きさに比べれば目立たないほど奥床しい。1.5cmほどでナスに似た花を咲かせるが、こちらはナス科のタバコ属ではなく、イワタバコ科イワタバコ属で別物である。しかし、大きな葉はタバコを想わせ、まさに岩に生える煙草そのものである。
福島県以西に分布し万葉集にも詠まれるぐらい親しまれて来たが、分布が限られるようになり、我々としては遠くまで訪ねなければならない。金剛山の登山コースで出合ったのが随分と前のことで、定点観察していた高槻の川久保渓谷に少しだけ成育していたのを思い出すぐらい貴重な植物になって来た。それというのも葉っぱが胃薬になり、生の葉っぱには苦味があり独特の風味が好まれ、山菜として摘まれて来たからだろう。ロクは貴重種は採取しない主義だが、もし試してみたい方は葉っぱを1~2枚残して採取してほしい。くれぐれも根絶やししないように!
「岩煙草 露の重さに しな垂れて」