春の使者
題名を「大犬の陰嚢(ふぐり)」にしたかったが、まだ松の内なので春の使者とした。春を告げる花は他に各種あるが、身近な散歩道でオオイヌノフグリなどが咲き出すと嬉しくなる。在来種にイヌノフグリと言うのがあり江戸時代に名付けられた。高浜虚子の句に「犬ふぐり星のまたたく如くなり」と言うのがあり、その名前から子どもたちにも愛されていたのだろう。果実の形が犬の陰嚢に似ているからと言うが、何ともおかしな名前を付けられたものだ。オオイヌノフグリは明治中頃に渡来して来て、いまや日本固有種であるイヌノフグリを彼方に追いやってしまった。今まではゴマノハグサ科だったが、最近ではオオバコ科に再分類されている。
春本番になると一面に咲き出し、まるで宝石を散りばめたようになる。綺麗な状態で咲き誇っている時にまた紹介してみたい。その昔、人事院総裁で植物の造詣に深かった佐藤達夫氏が「サファイヤの宝石箱をひっくり返したようだ」と表現されたらしい。でもサファイヤ草と言う名前にはならなかった。仲間にイヌノフグリ、タチイヌノフグリがあり、他にフラサバソウと言うのまである。
「犬ふぐり もう出て良いか 伺いに」