敗荷
夏の間あれほど見事なハスの花を咲かせていた蓮池は、その面影を一変させ物悲しい雰囲気に変っている。そんな惨めな姿でありながら晩秋を想わせる詩情を掻き立てる。詩人になれないロクは蓮池のレンコンはどうなるのだろうかと気になるばかりだ。夏場に葉を茂らせ3日間優雅な花姿で人々を極楽浄土に案内し、そして敗荷(やれはす)として散り敷く様は仏教世界にうってつけの植物だろう。破蓮(やれはちす)とも表現され俳句のモチーフにもなっている。
レンコンの食感が好きだから、串カツや天ぷらなどの揚げ物を食べたい時には欠かさずに注文する。花後の果床を蜂の巣に例えてハチスと呼び、それがハスの名前の由来になっているのはお馴染みだ。蜂巣の中に入っている種も若い時には食べられる。日本ではあまり普及していないようだが、台湾やベトナムでは砂糖漬けのお土産として売られている。たしかタイの露店で生食させてもらったこともある。
「昼の陽を 如何に受けるか 破蓮」