定家葛
スクリュー型の花(蕾も捩れている)
崖一面にテイカカズラが咲いているのを仲間が見付けて教えてくれた。近寄って観察すると確かにスクリュー型の花を咲かせ、甘い香りが充満している。山を歩いていると地面に独特の花が落ちているので、辺りを見渡して探すのだが、遠くからもそれと識別できるほどに咲いているのを見たのは初めてだ。花期は5月中旬から6月頃までだが、一旦姿を消した後、新枝からまた花を咲かせ秋まで楽しませてくれる。キョウチクトウ科なのでこちらも猛毒かなと思ってしまうが、茎葉などを乾燥させたものは滋養強壮と解熱などの薬効があるようだ。切り傷などには生葉をすりつぶして塗ると効くようである。
テイカカズラの名前の由来は、藤原定家の墓に巻き付いていた葛が、じつは後白河法皇の第三皇女だったという伝説に基づいて名付けられた話は有名だが、神話の「天の岩戸」伝説でも「天の日影をたすきにかけ、天のまさきをかずらとして舞った」と云われ、天の日影がヒカゲカズラで、天のまさきがテイカカズラだとされている。今でも別名でマサキと云われている。
「新緑に 負けじと色香 媚放ち」