春が来ただよ~
春を待ちかねた生き物たち
草本のフクジュソウを春の妖精として採り上げたのに、木本類では梅を紹介しただけである。梅は花期が長いこともあり「梅林」として見せる文化が定着してきた。椿やバラなどと同じように植栽種として人々に愛されている。
ワイルド派としてはどうしても野山に自生する植物に惹かれる。春の先駆けとして登場してくれるのがマンサクである。日本特産種というのが嬉しい。「先んず咲く」から転化したのが名前の由来になっている。秋の豊年満作への期待も込められて「満作」とされた。
マンサクは自生地域によってマルバマンサク、アカバナマンサク、トキワマンサクなどがあり、紅色の花を密につけるベニバナトキワマンサクと言うのまである。外来種としてのシナマンサクヤ、アメリカマンサクなどが公園などに植栽されている。
薬効もあり、民間でも乾燥させた葉を煎じて服用されていたとのこと。皮膚を引き締める作用もあるので、収斂化粧水を手作りされるようだが、肌に合うかどうかのパッチテストは欠かせない。
樹皮に粘りがあり強靱なので、綱代わりに薪を縛ったりしていたとのこと。日本むかし話の世界である。世界遺産の白川郷「合掌造り」の柱はマンサクの樹皮で縛られていると言うから、日本の伝統建築文化と切っても切れない大切な樹木だったと教えられる。
「花びらの リボンのねじれ 満作に」