ロクさんのアクティブライフのブログ

自然観察を通してのシニアの元気報告を575に託してお届けします。

自然観察を中心に、アクティブに活動している様を、
写真とコメントを交えて俳句にまとめています。
毎日発信でシニアの元気報告になっています。

野豌豆(のえんどう)三兄弟

                カラスノエンドウ

               スズメノエンドウ

                 カスマグサ

                三兄弟が混生


 カラスノエンドウを物資の欠乏していた時に婆ちゃんがお茶にしていたことを思い出す。他にアカザなどの野草が食卓に上ったのも戦後の貧しさの記憶として残っている。そんな経験がロクの野草好きの原点になっているのかも知れない。
 さてカラスノエンドウだが、あまりにも身近に繁茂しているので、雑草が茂っている位の感覚で素通りされてしまう。立ち止まって観察してやるとマメ科特有の蝶型花がなんとも言えないぐらい可愛い。その美しさを是非紹介したいとアップで撮ってみた。豆が黒く熟れて弾ける頃にはお茶にも出来るが、新芽の頃には山菜として利用できる。素揚げが香ばしくって美味しい。熟れる前の幼果も若芽と一緒に塩茹でしてさらしてやると、和え物や汁の実としても使える。野草料理の集いを計画していたが、大阪では感染者がうなぎ登りなので中止することにした。薬用としては花のつく時期に全草を刈り取り、日干し乾燥させたものは胃炎を抑える働きがある。血行をよくするので胃のもたれなどにも効くらしい。
 カラスノエンドウの近くを観察していると、必ずと言っていいほどスズメノエンドウも仲良く寄り添って生えているのを確認できる。花は小さく目立たない。葉だけが僕も仲間だよと言っているようだ。更につぶさに周辺を探すとカラスノエンドウとスズメノエンドウの中間ぐらいの仲間が見つかる。それがカスマグサである。カラスの「カ」とスズメの「ス」のあいだ「間(マ)」と言うことから名付けられた。誰が名付けたのかは判らない。もしカスマグサを見つけ出せたら、思わずヤッタ~と~叫ぶことだろう。


「野豌豆 いずれは蝶に なるのかな」

二輪草(ニリンソウ)

      「植村直己冒険賞」受賞の稲葉香さん

       ヒマラヤトレッキング合間の美容師が草原でカット✄

   かいがいしく面倒を見てくれた香さん(参考画像)


 ニリンソウもスプリング・エフェメラルの仲間だろうかと思うぐらいの遅咲きである。毎年地元で確認できる「春の妖精」だから逢いに行かないことには、不義理をしている気になる。フクジュソウ、ミヤマカタバミ、ショウジョウバカマについで出てくるのがこの娘である。ニリンソウはキンポウゲ科イチリンソウ属とされていたが、最近ではアネモネ属に再分類されている。ギリシャ語でアネモネ属は「風の娘」と呼ばれている。長く伸ばした花茎につく花はたえず風に揺らいでいる。風の娘とは言い得て妙である。二輪の花は川中美幸が歌っているような男女の仲ではなく、実は姉妹なのかも知れない。少し遅れて出てくる妹は、蕾が恥じらっているようにピンク色を帯びている。
 葉や花は山菜として食用になるが、まだ試したことがない。春の妖精は観て愉しむだけにしている。花びらをコーヒーゼリーや寒天寄せに散らす程度なら試してみても良いのかも。花びらと言ったが花弁はなく全て萼片である。
  (☛猛毒のヤマトリカブトと葉が似ているのでくれぐれもご注意を!)
 根茎で拡がり群落を作るが、その根茎を日干し乾燥させたものを煎じて服用するとリウマチに効くらしい。4月5日に2020年度の「植村直己冒険賞」の受賞者が発表されたが、ヒマラヤ・トレッキングの案内をしてくれた千早赤阪村の美容師 稲葉 香さんが受賞された。彼女は18歳でリウマチを発症して、それの克服を目指してヒマラヤ行脚を続けてこられた。過酷な環境に身を置き、半ば修行の境地で挑んでこられた姿勢に頭が下がる。池江璃花子さんの頑張りに通じるものがある。香さんおめでとう!
 
「咲いたかな 思い連れ来る 二輪草」

熊谷草(クマガイソウ)


 月一で計画される「北摂の山を楽しむ会」に参加してきた。準地元と言うべき隣町豊能町を起点とする妙見コースで、P444から妙見山を目指し、下山は初谷渓谷に下るという変化に富んだコースである。初谷渓谷では貴重植物が地元の方たちによって保護育成されているところである。お目当てはクマガイソウと世界で2例目に発見されたシロミノヤブムラサキの芽吹き確認である。
 クマガイソウは初谷渓谷での配線工事現場に自生していたらしい。それを地元の人たちが何としても残したいと山林に移植された。気候風土が合ったのか立派に根付き、今では数を増やしている。ハイカーにも楽しんでもらおうとアプローチまで整備して、今年の開花を待っている状況だった。まだ蕾だったが、あと10日もすれば源氏の武将 熊谷 直実 が背負った母衣(ほろ)のような独特なラン科の花を咲かせてくれる。母衣とは竹で編んだ籠に布を覆い、背中に背負い敵の矢から身を守る防具のことである。ランの唇弁が丸くなっているのを武将の母衣に見立てて名付けられた。足繁く通い開花した様子を皆さんに紹介したい。


「春咲の 蘭を目指して 揚々と」

火起こしと椿油搾り体験

              古来の火起こし道具

                 火打ち石

                点いた点いた

              椿油がたらりたらりと


 ひとくらクラブ例会として恒例になっている「椿油搾り」が時間を短縮して開催された。メンバーには油搾りのスペシャリストがおられるので、毎回彼のレクチャーを受けている。子どもたちに縄文時代で使われただろう火起こし体験をさせる。摩擦で熱を上げるのは出来るのだが、煙が出るまでには至らない。火を起こすのがそれほど大変だったことが伝わればいいのだ。歴史は下って火打ち石で点火する方法に辿り着いたので、その体験も子どもたちにさせる。炭化させた木綿布に火花を落として火種を作るのだが、なかなか火花が飛び散ってくれない。大人に手伝ってもらい落とした火花が、消えずに炭化布に拡がっていく様は、子どもの心に灯を点してくれたことだろう。
 そんな体験をしている間に、ツバキの実を砕いて取り出した「仁」が蒸し上がってきた。油の専門家は発明家でもあるのだ。ジャッキを改良して手作り圧搾機まで作られる。子どもでも難なく絞れる優れものだ。綺麗な椿油が流れ出してくるまでのデモンストレーションだったが、日本古来の伝統文化伝承の火種になればと願っている。


「春の灯を 子らに伝える 火付け人」

ムンクの『叫び』?

           ヤマザクラと咲き出したシャクナゲ


「まん防」が発令中だが地球環境『自然学』講座は予定通り開講になった。2021年度のスタートとして開講式から始まる。京大名誉教授 田中 克 先生が監修されてきた森・里・海連環学講座も今年で最終章を迎える。それにふさわしく今年度の講座テーマは『森に暮らして海を想い、海に暮らして森を想う』という原点にたち返ったカリキュラムが組まれている。
 第1回目の講座は地球システム・倫理学会会長顧問の服部 英二先生。地球倫理の先駆者クストーの知見と業績を、一緒に国連ユニセフなどで交流し合った同志として紹介された。リモート講座の形式になったが、受講生とのディスカッションもしたいという意向だったので、事前に数人がピックアップされ、その中にロクもねじ込まれることになった。世界を股にかけて活躍された大先生との対話となると、こちらもそれだけの準備をしておかなければならない。服部さんの著書2冊を取り寄せ俄勉強を余儀なくさせられた。講座内容は総論的な話で、特に心に響くというところまで予習が出来ていなかったので、結果的には討論に参加出来なかった。
 「ムンクの叫び」として世間一般に知れ渡っているが、服部氏の解釈に寄れば『叫び』ではなく、耳をふさいだ『悲鳴』だとおっしゃる。講座の締めくくりは金子みすゞの「蜂と神様」だった。この辺になると理解の範疇に入ってくるのだが。


「生き物は 老いも若きも 芽吹きだし」