センダンの花
オオシマザクラのサクランボ
観察会では必ずと言って良いほど誰かが「栴檀は双葉より芳し」ということわざを披露される。それに対してセンダンは昔から日本にある植物で、全然別物なのですよと訂正してあげる。インドネシア原産の香木である白檀(ビャクダン)を注して「双葉より芳し」と言った。それにしても紛らわしい古称で呼ばれたものだ。だからセンダンの花言葉には「意見の相違」というのが含まれている。日本古来のセンダンの古名は万葉の時代には「あふち」と呼ばれていた。
センダンは薬用植物として広く植栽されたようだが、小鳥たちが実を啄むので、河川敷などに広く分布している。成長も早く直ぐに高木になるので、有用植物だが今では邪魔もの扱いされている。たくさんの花を付けるが高木だと観察出来ない。芳香もあり可愛い花を咲かせる。
センダンは悲しくおぞましい歴史を持っている。平家物語では壇ノ浦で捕えられた平家の生首がかけられた木として登場する。江戸時代まで獄門になった罪人の首をかける木として使われてきたので忌み嫌われた。天満橋の刑場跡にもセンダンの大木が残っている。アオスジアゲハの好きな花なのだが。
お口直しにオオシマザクラのサクランボをたくさん啄んできた。
「栴檀の 落花を観ようか 見上げよか」