姫楮(ヒメコウゾ)
近くを散歩していると木イチゴに似たヒメコウゾの実がたくさん出来ている。甘くて美味しいのだが舌に毛が残る感じが難点だ。どうやら薬用酒用に適しているようだ。葉っぱなどには利尿作用があるようだが、実を浸けこんだ薬用酒にすると滋養強壮になるらしい。またまたロクをくすぐる。
さてクワ科のヒメコウゾは古来からコウゾと呼ばれていた。ところが中国からコウゾが渡来して来たので、区別するために葉の小さい方をヒメコウゾと呼ぶようになった。どちらも和紙の原料である。自生しているのがヒメコウゾで、栽培されているのがコウゾと覚えている。カジノキとヒメコウゾの雑種としてコウゾが生まれた。和紙のことを「楮(こうぞ)紙」というぐらい代表的な原料である。コウゾの他にミツマタやガンピなども和紙材料に使われている。和紙作りの体験をしたこともあるが、大変な手間暇が掛かる。それだけに味わいのあるものになる。
日常生活では安価な洋紙に頼っているが、丈夫な和紙を現代に活かすことはできないのだろうか。例えば、いま世界の海を汚染し続けているマイクロプラスチックに代わる素材として、使い捨てでない和紙袋や和紙容器など作れないだろうか。
「うっふんと 摘まんでみたき 姫楮」