莢蒾(ガマズミ)
ガマズミ
コバノガマズミ
どう転んでも「莢蒾」と表記してガマズミとは読めない。そんな事もあり図鑑などでは片仮名表記にしている。名前の由来から考えるなら「鎌染」にしたらいいのにと思う。カマツカと同じように枝などを鎌の柄に使っていた。熟れた赤い実は染料として使われた。「蒾(ずみ)」と言うのは「染め」を表す言葉らしい。
ガマズミは愛用の山渓図鑑では日本固有種になっている。ところがアジアやヨーロッパ、さらに北米まで近似150種が分布している。日本にも15種が自生しているらしい。別名のアラゲガマズミが日本固有種なのかもしれない。山に入るとミヤマガマズミやコバノガマズミなどが自生している。
ガマズミの枝はしなやかで弾力があるので、樹皮を剥いで薪などを縛る縄代わりに用いられた。心棒は笊の回りの固定用として活用された。いまでは赤く熟れた実を採取して疲労回復、利尿などの薬用酒を作られる。時々生食してみるが酸っぱくって旨いものではない。今まではスイカズラ科だったが、最近ではレンブクソウ科に再分類されている。秋の山ではよく目立つガマズミたちである。
「紅き実を 葉に乗せられて 小鳥待ち」