稚児百合(チゴユリ)
湯室月村の句碑
少し寄り道すればミヤマカタバミが咲く里道に、入れ替わってチゴユリが咲き出してきた。ウバユリの株も大きくなっている。群生で咲いていたニリンソウは既に姿を消している。春の妖精だと改めて実感できる。
チゴユリはユリ科だが花姿が可愛いので稚児を冠して呼ばれるようになった。日本特産種だが、関東以北にはオオチゴユリと言うのがあるらしい。他にキバナチゴユリというのがあり、金剛山に登った時に探し回ったことを思い出す。東京都高尾山ではホウチャクチゴユリと言うホウチャクソウとの交雑種が発見されている。チゴユリなどと言うのはてっきり山の植物と思い、愛用の山渓ハンディ図鑑『山に咲く花』で調べてみたが、『野に咲く花』にも掲載されていた。と言うことはかなり広域に生息できる柔軟性を持っているのだと思える。
能勢の「山田」という地域に湯室月村という俳人がいたというのでその句碑を訪ねた。今は無住寺になっている本光寺境内に、資料が無ければ読み取れない句碑があった。「藪入りの 布団の中や 親拝む」(月村)彼の足跡を辿ってみたい衝動に駆られる。山田には山田太郎という大塩平八郎当時の一揆物語も残る。山田城の末裔かも知れない山田さんにも出会った。歴史好きには楽しいところである。だんだん歴史に目覚めるロクがいた。
「春雨の 重さに耐えて 咲きし花」