水田
田植えを終えた後の「差し苗」
山手では既に田植えを終えているが、盆地での田植えが始まった。5月の連休に総出で水路の整備をされる。その行事を「井手」という。昔から水利を巡っての争いがあったのは記憶に新しい。村人はこぞって協力し合わなければならないと言う掟が、形を変えて今なお残っている。今では死語になっている「村八分」などという言葉も、村人が協力しようと言う戒めだったのだろう。水路のことを「井出」とも言い、規模によって「大井出」とか「小井出」と言って地名にもなっている。
田んぼに水が入ると一斉に蛙が啼き出す。そのうるさいこと。慣れて来るとそれをBGMに、子守唄よろしく、もう少しもう少しと暁をむさぼる。農家の方たちはその声を聞きならが田植えを始める。水を張った田んぼに映る山の端が窓から望められる。一年で一番好きな景色を提供してくれる季節だ。
水田は日本の原風景である。蛙の声もさることながらサギ類も集まって来る。タガメやドジョウなども住める環境になれば、コウノトリも来てくれるはずだが。最近は農薬こそかなり規制され出したが、規制値以下なら使ってよいと言う風潮もあり、コウノトリが来てくれるにはまだまだである。
「代掻きの 技と農機が 眼を奪い」