藪枯(ヤブガラシ)
左は花びらを付けた花・右は雄しべを残す花盤・中央は雌しべだけ
ヤブガラシのテーブル型花序
あまり雑草という言葉を使いたくないが、まさに雑草の第一人者にふさわしい名前を持つヤブガラシの花序がよく目立つ。春の山菜の季節に紹介したことがあるが、独特の色と形のツル先を摘んで茹でると綺麗な緑色になり、それを辛子和えにして食べる。名前の由来は藪を枯らすというぐらい繁殖する生命力旺盛な植物だ。食べた時に辛みがあるので藪の辛子という意味もある。別名で貧乏カズラとも云われている。
ヤブガラシは有史以前に渡来してきたブドウ科の帰化植物である。小花は目立たないがテーブル状に拡がった花序はよく目立つ。たくさんの蕾を付けているが朝に開花し、午前中には目立たない緑色した4枚の花弁と4つの雄しべを落とし、淡紅色の花盤と雌しべだけを残す。時間がある時にじっくり観察すると、開花から花びらを落とすまでが観察できる。三脚でも据え写真を撮ると、その様子を記録できる。
夏の観察会では花びらを落とした紅い花盤を味見して貰う。ほのかに甘い味を味わって頂き、山菜の話などを交える。この植物は結構使い道もある薬草だ。夏から秋にかけての全草を採取して乾燥させる。小便不利・腫れ物・虫刺され・打撲傷・ねんざ・鎮痛などの薬効があるらしい。虫刺されなどの時には生葉を揉んで擦りつけると効くらしい。
「刈られても なお刈られても 夏の草」