黄釣舟(キツリフネ)
歯の腋からぶら下がるキツリフネ
図鑑で「距」の違いを解説
おまけ画像:珍しいクジャクシダ
赤紫のツリフネソウは山地の谷沿いなどでよく見かけるが、キツリフネはどちらと言えば貴重種扱いされる。1年草だが同科のホウセンカのように種を弾き飛ばすので、多年草かと思うぐらいに同じ場所に群落を作る。ツリフネソウより少し開花が早いようで、今から8月にかけて最盛期を迎える。
なんとも変わった花姿と咲き方をしている。吊り下げて使う花器に似ていると言うことから名付けられた。花の形からホラガイソウの別名を持つ。図鑑には他にハガクレツリフネも掲載されているが、そちらは何処で観察したのか思い出せないぐらい珍しい。
マルハナバチが身体ごと花に潜り込んで吸蜜しているのに出会すが、その蜜を貯めてある部分を「距」と呼ぶ。スミレやエンゴサクの仲間も距を持ち、種類を同定するときの判断基準にもなる。ツリフネソウの距はくるりと巻き込んでいるが、キツリフネの距は垂れ下がっているだけである。訪れる昆虫の種類が違うのだろうか。全草毒草だから蜜を吸ってみたい衝動を抑えている。
「梅雨雫 集めて蜜でも 作ろうか」