都葵(ミヤコアオイ)
地元の山裾でもしばしば見かけるミヤコアオイだが、環境省の絶滅危惧ⅠB類に指定されている貴重植物である。観察会で見付けたら概ね「カンアオイ」と言うことで済ませていた。実際のところミヤコアオイとカンアオイの違いがよく判らない。どちらも日本原産で、前者は近畿から島根県に分布するところから「都」を冠された。一方カンアオイは別名でカントウカンアオイと言われるので、同じ仲間だが棲み分けているのかも知れない。
カンアオイ属は基本的には同じような生態だと思う。特異な形の花は葉の下に隠れて、半ば土に埋まりそうに咲いている。秋から冬に3裂した花被を付けるが、萼片が筒状になったものらしい。そこからウマノスズクサ科に分類されたのだろう。それらは蝶類に人気があり、カンアオイはギフチョウの食草だし、ウスバサイシンはヒメギフチョウの食草になっている。我が家で数年前から植栽しているウマノスズクサにはジャコウアゲハがやってくる。
根が薬草になり、精油を含んでいるのが蝶を誘引する原因だと考えられている。アゲハチョウ類がミカン科植物に集まるのも、精油を含んでいるからとの共通点である。
カンアオイは常緑多年草で葉に斑が入るところから、江戸時代から観賞用として栽培された古典園芸植物にもなっている。今でも山野草愛好家に人気がある植物だが、自生種は盗掘しないで蝶のために残しておいて欲しい。
「大阪を 都にしたき 春の馬鹿」