蟻と小錦
地面を這うコニシキソウ
アップで撮っても判りづらい花と実
斜上するオオニシキソウ
コニシキソウ(左)とオオニシキソウ(右)の比較
イソップ童話の様な標題になってしまった。過っての人気力士「小錦八十吉」をイメージして取り上げたのは言うまでもない。小錦さんとはまるで違うミクロの世界で生きる植物コニシキソウの話である。
コニシキソウは北米原産で明治の中頃に渡来して来て、今や全国に分布するトウダイグサ科の帰化植物である。科の特徴でもある茎や葉をちぎると乳液を出すのでチチグサとも呼ばれる。もともと在来種でニシキソウというのがあり、それより小型だからコニシキソウと名付けられた。ニシキソウは葉っぱ模様が目立たないが、外来種はしっかりと斑紋が目立つ。北米原産のオオニシキソウというのも同じ時期に渡来してきた。コニシキソウが地面を這うのに対して、オオニシキソウは斜上したり直立したりするので、直ぐに判断出来る。
トウダイグサ科の花は目立たないが、コニシキソウはルーペで覗かないと、雄花か雌花かの区別もつかない。雌雄の花は花弁を持たないがそれぞれに蜜腺を持つ。蜜に釣られてアリたちが集まって来る。雄花の蜜腺に近寄るとアリの頭に花粉が付く仕組みになっている。雌花にも蜜腺があるのでアリたちが渡り歩くことによって受粉を助ける。受粉した雌花の子房が膨らみ、熟れた段階で種を弾き飛ばす仕組みになっている。その種を別の種類のアリが巣穴に運んだりして、散布を助けている。コニシキソウもカタクリと同じように種に甘いおやつ(エライオソーム)を持っているのだろうか。
「熱帯夜 去って朝露 草ぐさに」