妻がハイキングに出かけるので、大した予定のない僕が夕食担当部長を命じられた。先日借りた村上龍の「オールドテロリスト」を読んでしまったので、買い物ついでに図書室に寄り道する予定で出掛けた。好きな花の一つであるコスモスが秋風に揺れている。何となく弱々しい雰囲気を持つが、風に柳とばかりに、しっかり種を付けるまでへこたれない強かな植物である。
　コスモスを漢字表記で「秋桜」と書くのが何とも言えない。まさに秋を代表する花で、8枚の舌状花が桜をイメージするらしい。メキシコ原産でイタリアの芸術家が1876年に日本に持ち込んだとか渡来時期は各説あるが、明治の末には既に全国に普及している。日本的な花でいっとき休耕田などでコスモス畑がたくさん見られた。この季節になると歌のフレーズが頭をよぎる。
　そんな事も影響したのか、図書館では宮本輝の「草花たちの静かな誓い」を借りた。先日借りた村上龍の作品が僕の嗜好とかけ離れていたせいかもしれない。題名だけでは判断できないが宮本文学は数多く読んでいるので、先ず当たり外れは無いだろう。
　因みに夕食は暑さも和らいできたので「おでん」にした。相撲を観ながら金麦とカップ酒で何人前かのおでんを二人で平らげた。カレーとおでんは「またなの！」と言われるのが常だが、何とかお気に召したようだ。

「我が家にも　どっと注したき　秋桜」