八手(ヤツデ)
寒々とした初冬風景
植栽されているヤツデの花が最盛期を迎えている。もともと福島県以南の海岸近辺に自生する日本固有種のウコギ科常緑植物である。花はウコギ科の特徴を表す球形の散形花序を円錐状につけ、たくさんの白い小花を付ける様は同じウコギ科のウドとそっくりである。葉の形から八つ手と言われているが、実際には7か9裂に分かれている。
ウコギ科の殆ど(タラノメ・コシアブラ・タカノツメ・ヤマウコギ・ハリギリ・ウドなど)は山菜として好んで食べられているので、ヤツデも大丈夫かなと思うが、葉っぱは有毒だという。ただし鎮咳・去痰には乾燥させた葉っぱを煎じて服用したり、うがいに用いると効果があるらしい。リューマチや腰痛などには浴湯料としても用いられている。古くからの言い伝えで、家の敷地に植えておくと病魔除けになると信じられていた。別名で「天狗の羽団扇」と言われるが疫病が流行した時に、この葉で追い払うという迷信が今でも生きている。だから庭木として植えられているのかもしれない。地方によっては飲食店などの庭に、客を招くと言う縁起物として植栽されている。招き猫代わりである。
「花八手 爆ぜるが如く 開きおり」