三椏(ミツマタ)
そろそろエドヒガンが咲き出している頃だろうと、妻からの誘いに乗って能勢から箕面につながる自生地を探索してきた。このコースにはミツマタ群生地があるので、そこにも立ち寄りたい。と言うのもトンボのメガネ新年度最初の訪問地に挙げているからである。開花状況確認と、皆さんへの案内文書に挿入するための写真も撮っておきたい。観光協会で地図を戴くと、ミツマタ自生地が過去に訪問した場所ではない。地図を頼りに訪れると谷筋に満開状態のミツマタが迎えてくれた。
ミツマタは中国ヒマラヤ地方原産で、ジンチョウゲ科だから芳香を出すはずだが、群生地に行っても香りにむせかえるというほどではない。中国から製紙材料として入ってきたのか、解熱・消炎、眼病薬として渡来してきたのか、単なる観賞用だったのかも知れない。その全てに使われているのでよく分からない。万葉以前と江戸時代だという大きな開きを持つ渡来説がある。因みに柿本人麻呂の歌に「春されば まず三枝(さきくさ)の 幸くあらば 後にも逢はむな 恋ひそ吾妹」というのがある。
製紙材料としてはコウゾやガンピなども使われるが、ミツマタが虫を寄せ付けないとか、しわになりにくい高級品質の和紙が作れると言うことで、今でも1万円札の原料に使われているらしい。他に証紙、地図用紙など各種用紙として使われている。
「三椏の 香より花粉 鼻に付き」