沢蓋木(サワフタギ)
この季節の山歩き中、谷筋などで見掛けると名前通りだなと思ってしまうサワフタギが近くで咲いていた。見慣れない花が咲いていると写真に収め、帰宅して検索すると「何だ!サワフタギじゃないか!」とびっくりする始末だ。渓で観ればすぐに判るのに、散歩道で出会うと判らない。飲み屋の女将が普段着のままスーパーで買い物をしていたので、判らなかったというのとよく似ている。サワフタギはよく茂り、沢をふさぐほどに枝を伸ばしているところから名付けられた。
同じハイノキ科の仲間にタンナサワフタギというのもある。こちらは黒い実が出来るが、サワフタギは秋に瑠璃色の実をつけ、ルリミノウシコロシという別名を持つ。牛殺しという別名はバラ科のカマツカにも使われている。どちらも強靱なところから牛の鼻木(輪)に用いられていた。古来からの用途としては「紫」や「茜」の草染めの媒染剤として使われていた。葉や小枝にアルミ成分が含まれているらしい。
いずれにしても近場で色んな植物が発見出来たというのは、大人しく自粛していた賜物である。第2波・第3波で行く手を塞がれないように、自分自身もその一翼を担わなければならない。
「万緑を 照らす如くに 白き花」