石見川(イシミカワ)
河川の名前のようだが、川ではなくトゲのあるタデ科植物の一種で、先日紹介したママコノシリヌグイなどの仲間である。アキノウナギツカミやママコノシリヌグイなどはミゾソバに似た花を咲かせるが、イシミカワは地味な花で余り目立たない。ところが果実になると、青藍色の独特のスタイルで登場してくれる。茎が丸い葉を貫いたように見える苞の上に、お供え物のような果実を乗せる。それが何とも言えないほど特異で可愛い。ノブドウの虫による色変わりに似ているが、イシミカワの果実は緑白色から赤紫色、青藍色に変化していく。
棘はママコノシリヌグイほどではないが、それでも下向きに付いていて、手折るのをためらわさせる。捕食者から身を守る戦略よりも、トゲで絡みついて日差しを一杯浴びたい戦略だろう。名前の由来になっているのは大阪府にある「石見川」からの転訛との説もある。一年草だが来年も散歩道に咲いてくれるだろうか。
秋さがしの散歩に出掛けたが、まだ山の紅葉は始まっていない。桜こそ葉を染め始めているが、ウルシ系の真っ赤な葉を観ることは出来なかった。辛うじて低木のツツジが紅葉の先駆けを演じてくれた。
「満月に 供えたくなる 石見川」