映画『破戒』
花壇のフジバカマが芽吹いて来た
能勢町人権協会主催の映画上映会が開催されると言うことで日程確保しておいた。昨年夏には少し原作からエキスを抜いた『橋のない川』を観て、今井正監督作品のいかに素晴らしかったかを思い知った経緯がある。
今回の『破戒』も同じ轍を踏まされるのでは無いかと思っていたが、かなり原作に近い作品に仕上がっていたように感じられる。と言っても『破戒』を読んだのは心熱き学生時代で、60年前の映画を観た記憶も残っていない。藤村が小説に転向した最初の作品で、自費出版だったと言うことも知らなかった。
ただただ被差別部落の存在と謂われの無い差別に、青年の心が煮えたぎったのを思い出す。『橋のない川』をむさぼり読み、世の不条理に心を痛めた。小学校・中学校の近くに被差別部落や朝鮮の方が住んでいたという環境も、僕を差別を許さない人格形成に育てたのかも知れない。親たちが伝える差別用語に拒否反応をしていたことも思い出す。
改めて藤村の『破戒』を読んでみたくなった。『若菜集』の初恋も素晴らしい。
「初恋の 林檎の花へ 信濃路へ」