窓から見下ろす何時もの田んぼの風景だ。毎年丁寧な米作りをされているのが、田均し中の1面の田んぼである。冬場でもここの田んぼは青々としていた。そろそろ水を張る準備
だろうか。はたまた草を漉き込む前段取りかも知れない。最近は田植えが早くなってきたので、二十四節気や七十二候が日本の風土にそぐわない気がする。
　数日の暖かさに驚いたのか、一気にカンサイタンポポが咲き出してきた。セイヨウタンポポが在来種に取って代わって､我が物顔をしているが、さいわい能勢ではまだカンサイタンポポが健在である。タンポポも温暖化と都市化の環境指標になっている感がする。
　タンポポは洋の東西を問わず薬草として重宝されている。滋養強壮、催乳、がん一般に良いと言われる。と言うのも「蒲公英」という表記は生薬名からの借用である。更に根は「蒲公英根（ぼこうえいこん）」と呼ばれ、いずれも健胃、解熱など多方面に用いられている優れた薬草である。薬理実験で抗がん作用が証明されたので､民間生薬としても大いに利用したい。今年も野草料理を頼まれているので、タンポポサラダと、花の天ぷらは欠かせない。根っこを引き抜いてタンポポコーヒーを作ってみたいが､そこまでは出来るかどうか。
　ジンチョウゲの蕾もやっと開花してきた。春風に乗せて芳香を運んできてくれる季節になり、田均しならぬ春への心均しが整った。

「春耕で　出来たモザイク　泡沫に」