ロクさんのアクティブライフのブログ

自然観察を通してのシニアの元気報告を575に託してお届けします。

自然観察を中心に、アクティブに活動している様を、
写真とコメントを交えて俳句にまとめています。
毎日発信でシニアの元気報告になっています。

小生馬

           花は平開せずに斜上するコイケマ

                イケマの果実

       ガガイモの種・ケサランパサラン(手作り紙芝居より)

         遠くへ行きたい~種の旅物語~(紙芝居タイトル)


 ガガイモに似た葉を持つイケマです。愛用の山渓ハンディ図鑑ではイケマはガガイモ科になっています。ところが最近はキョウチクトウ科に再分類されたようです。仲間と観察した時には、てっきりイケマと思い込んでいました。大きな違いではないのですが、関東以西に分布するコイケマの方だったのです。イケマの花は平開して反り返りますが、コイケマはあまり開きません。
 イケマと言う名前はアイヌ語で「巨大な根」「神の足」と言う意味だそうで、エゾの霊草としてアイヌ民族の重要な薬草で、利尿・強精・強心薬の薬効があります。若葉は食用にされますが大きな根茎は有毒です。アイヌの人たちはその根茎も煮て食用にしていたらしいです。
 ガガイモの果実には冠毛を付けた種がたくさん入っていますが、それを細くしたような果実をつけ、同じように絹糸のような種を持ちます。キョウチクトウの種も似ているので、キョウチクトウ科になったのでしょう。因みにガガイモの種がふわふわ飛んでいるのを、架空の生き物に準えてケサランパサランと呼んでいます。


「蟻くんが メジャーで花の 主役顔」

根も葉も無い・・・

        クズを宿主にしているのかもしれないネナシカズラ

               微生物からAIまで


 「根も葉も無い~」に続く言葉は「噂」になります。四字熟語で表すと「流言飛語」、もっと判りやすい表現ではデマでしょうか。ところが根も葉も無い植物が実際に存在するのです。根無葛(ネナシカズラ)です。特異な植物として注目を浴びています。一度観たら忘れられないインパクトのあるヒルガオ科のツル性植物です。もともと発芽時には他の植物と同じように地面から芽を出します。寄生する相手を見付けたら吸盤で絡み付き、それからは寄生した宿主から養分や水分を吸い取ります。その段階から根は必要なくなり枯らしてしまいます。全てを宿主から吸いとるので葉も持つ必要がない全寄生植物です。別名でウシノソウメンと言われています。
 昨日は地球環境自然学の講座日で、バス待ちでネナシカズラの成長過程に出合いました。暫くすると成長して黄色い網を被せたように繁茂します。そんな植物ですが滋養強壮・強精など薬効に優れています。薬用酒も作れるようです。
 講座は鳥取環境大学の吉永郁生教授で大学名に環境を冠する大学は日本でただ一校だけです。「微生物生態学から森里海の地域創生までを展望する」という壮大なテーマです。基本的には顕微鏡世界の話からのスタートなので、地域創生までの結びつきは絡み合ったネナシカズラを説き解す様な話で、枯渇したロクの頭には難解なテーマでした。もちろん講座内容は根も葉もある話でした。


「蜘蛛の囲か 嘘で絡めた 根無し草」

蛍袋

              花の中の毛も確認出来る


 山道で出合うと嬉しくなるキキョウ科ホタルブクロがあちらこちらで散見できる。うな垂れてひっそり咲いているという雰囲気がロクを惹きつける。別名で提灯花と言われるが、提灯の火を垂れる様子から「火垂る(ほたる)」になりホタルブクロになったとも云われている。野坂昭如の「火垂の墓」はホタルの古名を題名に使っている。子どもたちがホタルを捕まえて、花の中に入れて遊んだからというのが命名の由来。僕もホタルを追っかけまわした経験があるが、ネギの中に入れて淡い光を楽しんだり、蚊帳の中に放ったりした記憶が甦る。
 たくさん咲き出したホタルブクロの花を一輪を失敬して分解してみた。中に長い柱頭があり、釣鐘状の袋の中は紫色の斑点が散りばめられている。光にかざすと毛がびっしりと生えている。おびき寄せた虫たちに無駄なく花粉を運ばす戦略なのだろう。もったいないので最後に柱頭を引き抜き蜜を吸ってみた。
 このホタルブクロは昔から食用として利用されてきた。若葉と若芽を採取して天ぷらにしたり、茹でて和えものにしたりする。花は開花したものを甘酢や酢の物、花サラダなどで利用できるようだが、まだ試していない。群生していたら試してみたいと思うのだが、中に虫たちが入っているのをよく観るのでその気にならない。


「提灯の うな垂れ沖縄 慰霊の日」

毒溜

                蕾・開花・成熟

             大きな苞から展開する様子

                 開花直後

              大きさの違いがよく判る

              ドクダミ茶用に乾燥中


 いたるところでドクダミの白が目に付きます。日影の湿った林床や道端などで群生しているのでよく目立ちます。花びらに見える4枚は花を包む苞です。中央の穂状の部分が花でそこには花弁も萼片もありません。黄色く見えるのは雄しべの葯です。
 ところで4枚の苞の大きさが違うということを知りませんでした。前回のトンボのメガネ観察会で仲間から教えて貰いました。花を包んでいる苞の外側が大きく、内側になるほど小さいのです。直ぐに納得出来ました。しかし、自分の目で確かめなければならない性分なので、昨日はドクダミ群生地まで行って、蕾から花が展開するまでの過程をつぶさに観察して来ました。特に展開直後に苞の大きさの違いが顕著です。
 さてドクダミですが、我が家では毎年健康茶に混ぜて飲んでいます。以前はドクダミ化粧水も作っていました。自然大学の講師から市販のシミ取り化粧水より、手作り化粧水の方が香料などの不純物もないので、より薬効があると教えて貰ったのがきっかけです。妻はこれ以上綺麗にならなくってもいいというので、最近はお茶だけにしていますが…。文字のない時代から民間薬として利用されて来ました。他にセンブリとゲンノショウコと併せて3大民間薬と言われています。


「病める民 クルスの救い 十薬に」

栗の花

               中央に栗の赤ちゃん


 能勢は栗の産地なので、梅雨時になると独特の匂いに包まれる。移り住んだ時には鼻がもげそうなぐらいの悪臭に感じた。住めば都でその匂いにも慣れ、苦にならないようになってきた。嫌でも9月までは栗の成長を観ながら過ごすことになる。銀寄栗が能勢のブランドで、道の駅などに出荷される頃になると車の渋滞が続く。
 栗は縄文時代から果樹として栽培されてきた。クヌギなどのドングリも食べられてきたが、栗とブナの実やシイ類などは灰汁もなく生食出来るので珍重されてきた。今でも皮膚病などの薬効があり、煎じたり、浴剤に使ったり、ウルシかぶれの時には栗の葉でかゆみを抑えられる。変わったところでは、イガの黒焼きをゴマ油で練り込んだものを、頭皮に塗ると脱毛防止になるらしい。
 匂いを我慢して顔を近付けると、長く垂れた雄しべの花穂の脇に雌しべがあり、既に受粉を済ませたのか栗の赤ちゃんらしきものが確認出来る。一ヶ所に2~3個の栗が出来る。これだけの雄しべが風で撒き散らす花粉を受ける雌しべは、自家受粉しない仕組みを持っているのだろうか。


「栗の花 落ちて地面に ただの紐」