ロクさんのアクティブライフのブログ

自然観察を通してのシニアの元気報告を575に託してお届けします。

自然観察を中心に、アクティブに活動している様を、
写真とコメントを交えて俳句にまとめています。
毎日発信でシニアの元気報告になっています。

うば玉(ぬばたま)

            顔を覗かせたヒオウギのタネ


 今年は永らくヒオウギの花が夏場を彩ってくれた。薬用として利用される根茎を生薬で「射干(やかん)」と呼びぜんそくなどの薬効に優れているようだ。その根茎がだんだん肥大して5枚の扇を拡げてくれた。おかげで毎日次から次へと花を咲かせ、その内のいくつかが結実してくれた。10月に入りその実が弾けて、中から光沢のある黒いタネが顔を覗かせる。それを古名で「ぬばたま」と呼ぶ。生け花に飾っても味わいあるだろう。「ぬばたま」は夜や夕べ、髪など黒に対する枕詞として万葉集にたびたび登場する。ヒオウギの別名である「烏扇」はこの黒いタネから来ている。
 「春夏冬 二升五合」の看板を居酒屋などでよく目にするが、「春夏冬」はまさに最近の季節の変化を言い表しているようだ。一昨日まで夏日だったのに、昨日は一気に冬に突入してしまい、ニュースでは雪便りまで届いた。以前からだんだん四季がなくなっていく様子に危惧を持っていたが、秋を飛ばし冬が訪れるなんて想像も出来ない。商いますます繁盛なんて洒落言葉を言っておれない。「春夏冬」(秋ない)は気象用語になるのかも。
 車で帰路を急いでいるときに暮れなずむ空が真っ赤に染まっている。まるで火事のような焼けようである。綺麗と言うよりも不吉な予感を抱かせる夕焼けだった。


「ぬばたまの 弾け一気に 冬を呼び」

生涯学習の勧め

             田舎菊が続く先には未来が

               ご高齢の池上先生


 地球環境『自然学』講座が久し振りの対面講座で復活された。リモート講座が続いていたので辟易としていたところである。今年度12回目講座と言うことだが、実質的には2回目の講座になる。講師は京大名誉教授の池上 惇先生。「学習社会の創造」と言うテーマで「寺子屋」から情報革命と言われる今日までの考察を、経済学の視点から掘り下げた話に惹き付けられた。
 今までの講座はパワーポイントを使ったものだったが、氏のスタイルは白板(黒板)を使った講座で、古き時代の学生にタイムスリップした感じで、聞き漏らすまいと耳を傾けた。昨年「学習社会の創造」という著書を京大学術出版会から出された。講座内容を深めるために読んでみたいと思っている。
 多岐にわたる話だったので紹介しきれないが、根底には受験教育で求められた「同質性」からの脱却を計り、体験型学習で個々人の個性を活かす「多様性」が求められる方向性を訴えられた。その試みとして「市民大学院」の設立などに取り組まれ、生涯学習の場を提供されている。シニア層も研究テーマを持ち論文発表が出来る環境整備を、忘れられた農村部で開花させようとの夢を披露された。ロクも生涯学習のテーマとして「蝶の舞う里作り」に取り組もうかな。
 里には田舎菊と呼ばれるヤマシロギクの白花が眩しい。


「年老いて 今なお野菊の 君なりき」

里山植物観察会🔍

          アケボノソウでは5弁以外の花びら探し

               ツリガネニンジン

             珍しいナンバンハコベの実

           観察チェック表


 サークル「トンボのメガネ」観察会は一週間前に下見しておいた茨木市泉原の里山への遠征である。バスで40分ほども奥地に入るところなので、都会では姿を消してしまったお馴染みの里山植物がたくさん残っている。
 阪急茨木市駅とJR茨木駅から分乗した17人はさながら遠足気分のようで、気の緩みもありバス内会話が弾んでいる。気の付いた仲間から指で “しっ~!" の合図が入る。泉原現地に車で来られた方と合流して18人のグループで観察開始。田んぼの稲刈りも終わっているので、余り気を遣わずに観察が出来る。ただ周りの草が刈り取られているので、再び春の草花が咲き出したりしている。あらかじめ下見時に観察した植物名の一覧表を作り、皆さんの手助けになればとチェックしてもらいながら歩いた。用意したチェック表は66種類だったが、36の瞳で観察すると見落としがあったり、1週間の内に姿を消してしまったものもあった。
 何時もの例会では対象テーマを決めて訪問するのだが、今回は里山に生息する植物たちを総なめしてもらおうということで、どちらかと言えば里山ハイキングになったようである。辛うじてアケボノソウやツリフネソウを観てもらえたのが、印象として残るのかなと思ったりしている。五感で観察というスタイルは外していないので、エノキの実などを試食してもらったり、カラスウリの種の謂われを披露したりしたことは言うまでもない。
 男性参加者も数人いたのが心強かったし、反省会に彼等が参加してくれたのが何よりだった。おかげでビールの量が進み、数少ないバスに間に合わず妻の手を煩わすことになった。


「里山に 三十六の瞳 千草追い」

梅鉢草(ウメバチソウ)

            10人の華と湿原の花で大満足だった


 二木会の行き先は宝塚市の大岩岳である。過去に何度も訪れた山だが、丸山湿原側から新たなルートのあることを知り、そのコースを妻が案内することになった。よく知られている道場からのルートだと大岩が岳だけを目指すことになる。今回のコースは参加者全員が初めてだと仰る東大岩岳(365m)を経由して、大岩が岳(384m)に登るコースで2座の異なった眺望を愉しめる。急坂があったりして緊張感を持ちながらの変化に富んだコースである。
多分比高もあまりない低山なので、2座を歩いてきたと言っても時間的には余裕がある。折角湿原近くまで来ているのだからと、皆さんを丸山湿原に案内する。サプライズコースの案内はロクに任される。
 数カ所ある湿原の中からメインとも言うべき第1湿原を周回することにした。サギソウの時期なら皆さんに喜んで頂けるのだが、と思いながら歩を進めると、白い花やそのでつぼみが群生状態で迎えてくれた。全く予期していなかったウメバチソウである。1茎1花で梅に似た花を咲かせる。言わずと知れた菅原道真の神紋「梅鉢」に似ているからと言うことで名付けられた。別名で「梅花草」とも言われている。手持ち図鑑ではユキノシタ科になっているが、最近はニシキギ科に再分類されている。
 根生葉には葉柄があるが、花茎の中間に付く葉はハート型で柄がなく茎を抱いているのが特徴である。花は食用と言うが、湿原内での採取は出来ないのでまだ食したことはない。でも思わぬサプライズに出合えたことを喜んで帰路についた。


「秋に咲く 思わぬであい 梅花草」

待ちわびた蝶が能勢に来た!

            オスの性票という紋がクッキリ

              ねんてん先生の俳句教室


 昨日は今年度2回目となる坪内ねんてん先生の俳句教室の日だった。兼題(宿題)のトンボと自由句を携えて会場に向かった。皆さんの句を寄せ集めてコピーする間の短時間、先生から俳句や文学に関するレクチャーをして頂ける。何時ものことながら勉強中のスマホはマナーモードにしてある。お尻の辺りがもぞもぞしている。たぶん着信が入っているのだろうが出るわけにも行かない。帰路についた時に返信しなければと電話をかけてみた。
 ひとくらクラブで一緒に活動しているお仲間からフジバカマの苗をたくさん頂き、知人の畑に植栽して貰った。能勢を蝶の舞う楽園にしたいという密かな思惑がある。花の時期が近づいたので何度か訪問したが、アサギマダラの姿を見かけない。今年はまだ彼等に認知されていないのだと諦めていた矢先、畑を管理している知人から「蝶が10頭ほど来てくれた!」との連絡だった。帰宅後直ぐに確認に行ってきた。もう時間的に間に合わないかも知れないと思いながら向かったのだが、確かに10頭あまりが乱舞していてくれた。僕的にはお馴染みの蝶だが、妻は身近で観たのは初めてらしい。
 アサギマダラの雄は雌にアッピールするためのフェロモンを出す器官を持っている。そのフェロモンを吸収するために切っても切れない関係にあるのがフジバカマである。従って花に寄ってくるのは雄蝶ばかりである。濃い紋のあるのが性票でオスだと同定出来る。国蝶はオオムラサキに指定されているが、昆虫学会で選定の際にアオスジアゲハなどと共にアサギマダラが候補に挙がったが、惜しくも外れてしまった経緯を持つ。2500キロも旅する蝶の方がロマンがあると思うのだが。


「長月に 草鞋を脱いだ 旅の蝶」